子どもの急な発熱
監修:大阪府済生会中津病院 清益 功浩 先生
急な発熱の原因は、ほとんどがウイルスという病原体による感染症です。急に高熱になることもあり、重症感染症ではないかと不安になりますが、高熱=重症感染症とは限りません。41度以上の熱が出ていないか、また熱以外にどんな症状があるかに注意をしましょう。
子どもの発熱の原因
風邪、扁桃炎、気管支炎、インフルエンザ、はしかやおたふく風邪、みずぼうそうなどが、急な発熱の原因の代表的なものです。扁桃炎はのどの奥にある豆のような扁桃に白いブツブツが見えますし、おたふく風邪なら頬がふくらんできます。これらの病気の場合、発熱だけでよほどつらそうでなければ、一晩様子を見て、翌日医療機関に連れて行っても手遅れになることは少ないといえます。安静にし、手足や頬などの高温になっているところを冷やし、水分を補給しましょう。
一方、注意しなくてはいけない病気もあります。髄膜炎や肺炎がそれに当たります。おう吐やけいれんをともなう時、意識がはっきりしない時、喜怒哀楽が表れずもうろうとしている時は、髄膜炎の疑いがあります。また、咳が出て呼吸が苦しく、高熱でも普通は赤くなるはずの顔色が悪い時は、肺炎のおそれがあります。いずれもすぐ医療機関に連れていきましょう。
乳児の突発性湿疹について
生後6ヶ月~1歳の乳児は、突発性発疹による発熱を経験します。この病気はウイルス性で、機嫌がよければ多くの場合は心配な病気ではありません。はじめに38~40度程度の高熱が出ますが、長くても3日程度で熱は下がり、解熱したら体に赤い発疹が出るのが特徴です。
プール熱について
夏のウイルス病の一つにプール熱があります。プールで感染することもあるのでこう呼ばれますが、正式には咽頭結膜熱といい、プール以外でも感染します。原因はアデノウイルスで、感染者の咳やくしゃみからウイルスが飛び散り、それを吸い込むことで感染します(飛まつ感染といいます)。日頃から、帰宅時のうがいや手洗いを習慣づけることが一番の予防になります。
プール熱の症状
プール熱の症状は、主に高熱と、のどや目の痛み、目やになどです。のどや目が真っ赤になり、4~5日間痛みが続きます。咳が出たり、目が開かないほど目やにが出たりすることもあります。また、38~40度の高熱が、長い場合は1週間程続きます。ほかに、頭痛、寒気、食欲不振、おう吐や下痢といった風邪の諸症状が出ることもあります。
プール熱の対処法
アデノウイルスに対する特効薬はありません。熱があるわりに本人は元気ということも多いものの、回復するまで安静にさせましょう。食事はのどや胃腸の刺激となる熱いものや塩辛いものを避け、おかゆなどを食べさせます。頭痛がある場合は鎮痛薬を服用するのも一つの方法です。
高熱が長く続く場合、医療機関で症状に応じた薬を処方してもらいましょう。
家庭では、家族への感染を防ぐため、タオルや洗面器の共用、目薬の共用をしないことが大切です。
発熱への対処法
ウイルスや細菌が体に入ると、それらと戦うために体は熱を出します。その時は、安静にして、熱を逃がすことと水分を補給することが大切です。
かつては、熱が出たら、体を温めて汗をかかせるのがよいとされていましたが、汗が出ない場合、体温が上がってしまうので、むしろ、涼しくしてあげたほうがラクになります。
熱の出始めには
熱の出始めには、寒気でガタガタふるえることもあります。その場合は、手足や体を温かくしてください。
熱が高くなったら
熱が高くなったら、熱を発散しやすいように、手足を布団から出して、涼しくしてあげます。冷房も効果的です。頭だけ冷やしても体温を下げる効果は低いですが、本人が気持ちいいなら、氷枕や水枕などで冷やしてあげるのもよいでしょう。ほかに、脇、首、そけい部を冷やすのも効果的です。
解熱剤(熱さまし)の使用に関して
使うべきかどうか、迷うのが解熱剤(熱さまし)です。解熱剤で、病気そのものは治せませんが、高熱でつらそうな場合は、使用してもかまいません。ただし、飲む場合必ず6時間以上間隔をあけること。解熱剤でたいてい熱は下がりますが、下がらない場合は、医療機関で診てもらいましょう。
医療機関を受診した時には、朝、昼、晩の体温の変化、解熱剤を飲んだ後の体温の変化を伝えると診断にとても役立ちます。薬を服用した時間と、体温を計った時間と温度は、記録するように心がけてください。