緊張型頭痛の原因・対処法
監修:富士通クリニック / 東京クリニック 五十嵐 久佳 先生
後頭部から首すじにかけて、重苦しい感じや、頭をベルトで締めつけられているような圧迫感が起こるのが緊張型頭痛です。時々起こるもの(反復性緊張型頭痛)とほぼ毎日起こるもの(慢性緊張型頭痛)があり、片頭痛のようにズキズキする痛みや寝込むほど強い痛みではなく、動いても痛みは強くならず、光・音過敏や吐き気もありません。
緊張型頭痛が発生するきっかけ
緊張型頭痛が起こるきっかけは、大半が身体的、または精神的ストレスです。 例えば、長時間同じ姿勢をとるといった身体的ストレス、環境の変化による精神的ストレスなど。ストレスによって神経や筋肉が過度に緊張し、筋肉に疲労物質がたまったり、脳内の痛みの調整機能がうまく働かなくなったりして頭痛が起こります。
緊張型頭痛の特徴
緊張型頭痛の特徴には以下のようなものが挙げられます。
- 後頭部を中心に両側がじんわり痛む
- 片頭痛のようなズキズキする痛みや寝込むほど強い痛みではない
- 重苦しい感じや頭をベルトで締めつけられているような痛みがある
- 首や肩のこりをともなうことが多い
- 通常は吐き気を感じることはない
- 頭痛がしている時に光や音を煩わしく感じることは少ない
- 動いても痛みは悪化しない
緊張型頭痛のメカニズム
緊張型頭痛のメカニズムは、反復性緊張型頭痛と慢性緊張型頭痛で異なると考えられています。
反復性緊張型頭痛
反復性緊張型頭痛は、頭や首、肩の筋肉の緊張から起こることが多いと考えられています。長時間、同じ体勢や無理な姿勢を続けることで、首や頭の筋肉に負担がかかり、緊張が高まります。 その結果筋肉の血行が悪化し、血管に老廃物などが溜まることで炎症が起こり、痛み物質であるプロスタグランジンなどが産生されて、頭痛を引き起こすと考えられています。
慢性緊張型頭痛
慢性緊張型頭痛は、脳そのものが痛みを感じやすいのではないかと考えられています。心配ごとや不安などの精神的ストレスが関連していることも多く見られます。
緊張型頭痛の対処法
- マッサージやストレッチをする
デスクワーク中などに、頭の重さや肩こりを感じたら、休憩をとって、首すじや肩をマッサージしたり、簡単な体操やストレッチをしたり、体全体をほぐすようにしましょう。可能なら、こりや痛みを感じる場所を蒸しタオルなどで温めることも効果的です。また、頭や首・肩の筋肉に圧痛がある場合は、ひどくなるまで我慢せず、早めに鎮痛薬や筋弛緩薬を服用することも一つの方法です。 - 病院で診察を受ける
「緊張型頭痛」の原因は身体的・精神的ストレスによるものが多いのですが、一見、緊張型頭痛のように見えても、別の病気が隠れていることもあります。長引いたり、症状が強くなったりする場合は自己判断せず、病院で診察を受けましょう。診察の結果、特に異常がなければ、ストレスケアに切り替えを。精神的ストレスが原因の場合、一時的に抗うつ薬や抗不安薬が必要になることもありますが、生活のリズムを整えたり、環境を変えたりすることで改善できることもあります。痛みは他人にはわからないものだからこそ、意識的に自分自身でいたわることが大切です。