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頭痛の原因は?
症状や発生状況から知る頭痛のタイプと対処法・予防法

監修:富士通クリニック 五十嵐 久佳 先生

今、国民の4人に1人が頭痛に悩んでいるといわれています。

頭痛は、一時的で軽い痛みのものから、継続的なもの、耐えがたい痛みのものなど様々なタイプがあります。脳の重大な病気が原因となっている場合もあるため、「たかが頭痛」と軽く考えるのは危険です。一方、深刻なものとばかり捉える必要もありません。鎮痛薬などでケアが可能な場合もあるため、まずは自分の頭痛がどのタイプなのかを知って正しく頭痛をケアしましょう。
ここでは、頭痛の種類や原因、発生のメカニズムほか、症状や発生状況から頭痛のタイプを知るチェック方法を紹介します。頭痛タイプ別の対処法、すぐに病院へ行くべき症状なども紹介するのでお役立てください。

頭痛の原因や起こりやすい状況を知ろう

頭痛は主に、原因となる病気はないが繰り返し起きる「一次性頭痛」と病気やケガなどが原因となって起きる「二次性頭痛」に分けられます。なぜ頭痛が起こるのか、その痛みのメカニズムを見てみましょう。

頭痛とは?

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実は、「頭痛」といっても、脳そのもの(脳実質)が痛むわけではありません。頭部で痛みを感じるのは、骨膜、太い血管、硬膜、頭皮、頭を覆う筋肉、脳神経、上部頸髄神経などです。これらの組織が圧迫されたり、引っ張られたり、炎症を起こしたりした時、それが痛みとなって現れた結果を「頭痛」と総称しています。実際には痛みの発生状況や痛みの種類などにより、様々なタイプに分類されます。

頭痛が発生するメカニズムと発生しやすい状況

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頭痛は、頭部にある頭皮や脳を覆う膜、脳につながる神経や血管、筋肉など様々な組織のいずれかが、圧迫や炎症による刺激を受けた時に発生します。二次性頭痛は病気やケガそのものが頭痛の原因となりますが、原因となる病気がない一次性頭痛はどのようなメカニズムで発生するのでしょうか。

例えば、肩こりがある人に起こりやすい頭痛は、肩や首回りの筋肉が緊張し血流や神経の障害が起こることで発生します。また、ストレスや寝過ぎ、寝不足、アルコール、姿勢、天候など周辺的な要因から生じる頭痛もあります。

【頭痛のタイプ別】症状や考えられる原因

国際頭痛分類では頭痛を14の大きなグループに分類しています。そのなかから代表的な頭痛のタイプや原因と症状を紹介します。

一次性頭痛の代表的なタイプ

一般的に「頭痛持ち」と呼ばれる場合の頭痛は、一次性頭痛がほとんどで、その代表的なタイプとして「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」があります。

片頭痛

こめかみから目にかけて片側を中心に、時には両側や後頭部までも脈打つように痛みます。片頭痛が発生するきっかけはストレス、ストレスからの解放、寝過ぎや寝不足、女性ホルモンの変化(月経周期)、天候や気圧の変化、空腹、肩こり、アルコールなど様々です。
「片頭痛」について詳しくみる

緊張型頭痛

両側の後頭部から首すじにかけて、重苦しい感じや、頭をベルトで締めつけられているような圧迫感が生じます。ほぼ毎日起こるもの、時々起こるものがあります。同じ姿勢を取り続けるなどの身体的ストレス、環境の変化による精神的ストレスなどがきっかけで起こります。
「緊張型頭痛」について詳しくみる

群発頭痛

頭痛のなかでも痛みの強いものの一つ。片方の目の周りがひどく痛み、その痛みは「目の奥をえぐられるような激しさ」と表現されるほどです。発生のきっかけはまだわかっておらず、夜間、睡眠中に多い頭痛だとされています。
「群発頭痛」について詳しくみる

色々な状況で起こる頭痛

咳や運動など特定の動作や刺激によって起こる頭痛もあります。その他、アイスクリームなど冷たいものを食べた時、ヘルメットをかぶった時、睡眠中にのみ起こる頭痛もあります。

低気圧による頭痛

気圧や天候の変化が原因で起こる頭痛です。低気圧によって脳内の血管が拡張し、周りの神経を圧迫することで頭痛が起こります。雨の日は特に気圧が下がる傾向にあるため、片頭痛持ちの人は天気の変化によって症状が悪化する場合があります。

肩こりによる頭痛

肩こりがひどくなると 肩や首回りの筋肉が緊張する ことで「緊張型頭痛」が起こることがあります。また片頭痛が引き起こされることもあります。

ストレスによる頭痛

ストレスは体にも大きな影響を与えます。ストレスによって緊張型頭痛や片頭痛が起こったり増えたりします。そのメカニズムはまだ解明されていませんが、ストレスにより筋肉がひどく緊張したり、脳の興奮性を変化させたりすることによると推測されています。

生理前やホルモンバランスの崩れによる頭痛

生理の時に発生する頭痛は「片頭痛」であることが多いといわれています。女性ホルモンの一つである エストロゲンの減少が関係している と考えられています。また、更年期のホルモン変動や介護などの環境の変化、老眼や更年期障害などの体調不良などによって頭痛が増える場合もあります。

温度差による頭痛(暑い季節・寒い季節)

寒暖差によっても頭痛が起きやすくなります。室内と屋外の寒暖差が激しい地域などでは、服装で調節し体への影響を抑える工夫も大切です。

目の疲れ・VDT症候群による頭痛

パソコンやスマホ・タブレットなどで長時間作業(VDT作業)することで目が疲れると、目の症状だけでなく、頭痛や肩こり、だるさなど、体にも症状があらわれます。長時間同じ姿勢で作業を続けることで筋肉が緊張し、後頭部から首すじにかけて圧迫感を感じる「緊張型頭痛」が起こります。また片頭痛が起こることもあります。VDT作業中はこまめに休憩を取りストレッチを行ったり、遠くを見たりするなど、眼を休めることがVDT症候群の予防につながります。

寝不足や寝過ぎによる頭痛

睡眠不足や睡眠時間が長すぎることでも片頭痛や緊張型頭痛が起こります。予防するためには 生活リズムを整える ことが大切です。

週末頭痛

週末に起こる頭痛は ストレスからの解放や寝過ぎ、空腹などがきっかけになる といわれ、多くは「片頭痛」です。

飛行機頭痛

前頭部の片側や目の奥に強い痛みが生じます。搭乗中や着陸時に気圧の変化によって起こるとされ、副鼻腔炎があると起こりやすいといわれています。また、副鼻腔炎でなくても搭乗中に「片頭痛」が起こるケースも多いため、頭痛持ちの方は要注意です。

アイスクリーム頭痛

アイスクリームやかき氷などの冷たいものを食べるとこめかみや前頭部、側頭部に痛みを感じます。のどの奥が冷たいもので刺激され、それが脳に伝わる途中で神経が混線するために起こると考えられています。片頭痛持ちの人に多いといわれています。

二日酔いによる頭痛

なぜ二日酔いで頭痛が起こるかについては、アルコールの代謝産物、アルコールによる脱水や低血糖など諸説あります。また、二日酔いによる頭痛とは異なりますが、「群発頭痛」は群発期(群発頭痛発作が起こっている時期)には少量の飲酒で発作が起こるので要注意です。飲酒により「片頭痛」が起こることもあります。

熱中症による頭痛

暑い室内や屋外で運動や活動中に頭痛を感じたら「熱中症頭痛」の可能性があります。体温が上昇し、体が脱水状態になったりすることで起こるとされています。

合わないメガネによる頭痛

メガネのツルがきつかったり、水中メガネで 頭が強く圧迫されたりすること で起こる頭痛もあります。また、メガネを新調した時に、度が合わず 目が疲れたこと で頭痛が起こることもあります。

ポニーテール頭痛

髪を結ぶと、頭皮や皮下組織、骨膜など頭蓋の軟部組織が引っ張られます。それが原因で起こる頭痛です。

まずは自分の頭痛タイプを知ろう

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頭痛のいろいろなタイプを紹介してきましたが、今お悩みの頭痛がどれに該当するかはなかなかわかりにくいのではないでしょうか。頭痛のタイプによって対処法も異なってくるため、まずはご自身が抱えている痛みのタイプをチェックリストで確認してみましょう。

ご自分の頭痛タイプが簡単にわかるチェックリストを2パターンご用意しました。以下のうち、トライしやすいほうからやってみてください。

あなたの頭痛タイプは?
頭痛のタイプを
チェックしよう

頭痛のとき、どう対処したらいい?

頭痛が起こった時、一刻も早く痛みを抑えたいと思うものですよね。頭痛のタイプによってすぐに病院に行ったほうがいい場合もあるなど対処法も異なります。

頭痛の対処法については以下で詳しく紹介しているので参考にしてください。

頭痛を緩和するセルフケア

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頭痛タイプによって、セルフケア方法も異なります。自分の頭痛タイプにあったセルフケアを行いましょう。

  • 片頭痛
    片頭痛が起こる要因の一つとして、血管の拡張が考えられています。そのため、血管を広げる入浴や運動、マッサージは控えましょう。片頭痛を改善させる方法としては以下のようなものがあります。
    • 痛む部分を冷やす(冷やしたり圧迫したりすることで血管が収縮されます。)
    • 睡眠をとる(光や音を防いで安静にしましょう。)
    • カフェインの入ったものを飲む(血管を収縮させる作用があります。)ただし、飲み過ぎないように注意しましょう。
  • 緊張型頭痛
    後頭部から首すじにかけて、重苦しさや頭を締めつけられているような圧迫感がある場合は、首すじや肩のマッサージや、簡単な体操・ストレッチを行い、体全体をほぐすようにしましょう。
    筋肉の緊張をほぐすために、入浴や蒸しタオルなどで首や肩周辺を温めることも効果的です。
  • 群発頭痛
    群発頭痛は頭痛のなかでも、もっとも痛みの強い部類になります。群発期(群発頭痛がほぼ毎日起こる時期)には飲酒を控えてください。
    また、発作時の痛みが非常に強く、市販の鎮痛薬では対処できないため、頭痛専門医を受診してください。

病院での相談も検討

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頭痛持ちの方が感じる頭痛のなかにも脳の重大な病気が原因となっている場合があり、「たかが頭痛」と軽く考えるのは危険です。いつもと違う激しい痛みや以下の症状を感じた時はすぐに医師の診断を受けてください。

  • 突然起こった、激しい頭痛
  • 今までと違う、初めて経験した頭痛
  • 明らかに頭痛頻度が増えている
  • 頭痛に加え、発熱が続く
  • 麻痺、しびれ、言葉のもつれをともなう頭痛
  • 頭部打撲後に出始めた頭痛
  • 月の半分は頭痛があり、鎮痛薬を月に10日以上服用している

【症状別】頭痛の予防法

できれば頭痛になる前に予防したいですよね。二日酔い頭痛や、寝不足・寝過ぎによる頭痛、ポニーテール頭痛などは刺激となる行動を避けることで予防が可能です。では、片頭痛などの一次性頭痛はどのように予防したらいいのか紹介します。

片頭痛

片頭痛が起こるきっかけとなる空腹やアルコールの飲み過ぎを避け、疲れやストレスをためないようにしましょう。寝不足や、逆に寝過ぎることで起こることもあるため、規則正しい生活を心掛けることが大切です。血管が拡張すると痛みにつながりやすいため、片頭痛が起こりそうな時は入浴を控えることも予防になります。

緊張型頭痛

同じ姿勢を取り続けるなどの身体的ストレス、環境の変化による精神的ストレスなどがきっかけで、首や肩の筋肉が緊張したり疲労したりすることで起こることが多いため、ストレッチや血行改善のためのマッサージなどが予防につながります。精神的ストレスもきっかけとなるため適度な息抜きや入浴でリラックスするのもいい方法です。

群発頭痛

群発頭痛は激しい頭痛が数週~数ヵ月の期間群発します。頭痛専門医を受診して、群発頭痛発作時に使用する注射や予防薬を処方してもらうのがいいでしょう。群発期に飲酒すると頭痛につながるため、その時期はアルコールを控えましょう。

まとめ

頭痛にはさまざまな原因や症状があるため、まずは自分の頭痛がどのようなタイプなのかを知り、適切に対処することが大切です。原因となる病気はないが繰り返し起きる「一次性頭痛」もあり、その場合は痛みを我慢せずに薬などで緩和できる場合もあります。その一方で、重大な病気が原因となっている頭痛もあります。突然起こった激しい頭痛など、ここで紹介した重篤な症状がある場合はすぐに病院に行くことをおすすめします。

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